株式会社セクト 代表取締役社長のブログ

北見市・美幌町の不動産投資や賃貸経営など

不動産の共有がおすすめできない理由

こんにちは(^O^)

セクトの近江です。

不動産の「共有」をご存じでしょうか。

この仕事をしているとしばしば共有されている不動産を取り扱うことがありますが、実はこの共有は結構やっかいです。

本日は「共有」についてお話しします。

そもそも共有とは?どういうときに共有が発生する?

共有とは、一つの不動産を2人以上で所有することです。

一つの不動産を二つに分割するわけではなく、持ち分という割合で所有することになります。

例えば2000万円の一戸建て住宅を夫婦で1000万円ずつ支払った場合、それぞれの持ち分は2分の1ずつということになります。

夫が1500万円、妻が500万円支払った場合は4分の3が夫、4分の1が妻の持ち分となります。

不動産の共有が発生する場面の多くは、先述したように夫婦で新居を購入するとき、そしてもう一つが相続発生時です。

例えば、親が亡くなって、親が所有していた自宅を子ども2人が2分の1ずつの持ち分の共有で相続するという場合があります。

相続はかなりデリケートな問題で、基本的に子供が2人いた場合、不平等にならないように遺産分割をすることを考えます。

相続財産が現金の場合はきっぱり半分に分けることができます。しかし、不動産の場合はきっぱり二つに分けることができません。

そこで2分の1ずつ共有にすることで平等な相続が達成できると考え、共有名義不動産が生まれるということが良くあるのです。

共有のデメリット

一見、平和的手段に思える不動産の共有ですが、実はできるだけ避けるべき手段であるといわれています。

避けるべき理由に以下のような理由があります。

①処分しづらい

共有不動産を処分する場合は所有者全員が同意しなければなりません。

処分とは売却や解体などが該当します。

2人で共有している場合は2人とも処分に同意しなければなりません。5人で共有している場合は5人の同意が必要です。その持ち分に関わらず1人でも反対者が出ると処分は難しくなります。

また、増改築のような大規模な変更行為も同様に全員の同意が必要となります。

②賃貸しづらい

家賃収入を得るために共有不動産を賃貸に出す場合は、共有持ち分の過半以上の同意が必要となります。2人で2分の1ずつ共有してる場合は2人の同意が必要となります。3人で3分の1ずつ共有している場合は2人の同意で足ります。2人で一方が3分の2、もう一方が3分の1の割合で共有している場合は、3分の2の持ち分を所有する方の同意のみで賃貸に出すことができます。

いざ、過半の同意が得られて賃貸に出せたとしても、賃貸に出したお部屋のリフォーム工事のをするかしないかの判断もまた過半の同意が必要となります。

①も②も共有者全員の意見が一致していれば何の問題も無いのですが、人それぞれ多少の考え方の違いがあるため、そう簡単に意見が一致しない→一致しないことが原因で不仲になる→不仲が原因でさらに意見が一致しなくなる……といった負のスパイラルに陥る可能性があります。

③持ち分も相続の対象となる

2人で共有しているうちの一方が亡くなった場合、その持ち分も対象となります。共有者とは良好な関係が築けていたとしても、その相続人とも良好な関係が築けるかどうかは分かりません。

また共有持ち分を複数人で相続してしまうということもあります。2分の1を更に半分にして4分の1ずつ相続することとなります。共有者が増えると同意の難易度があがってしまい、処分や活用がまた難しくなってしまいます。

共有のメリットはないの?

共有には税制上のメリットがあります。

①住宅ローン控除を二重に受けられる

住宅ローン控除は、購入価格の一定割合を所得税から税額控除できる制度です。夫婦の共有名義で住宅ローンを利用した場合、この控除を二重で受けられます。

ただ、所得税を払っているからこそ控除されてお得になるわけで、共有者のどちらかが仕事を辞めて所得が無くなると、控除される所得税自体が無くなり控除が使えなくなります。

本当に二重にすることでお得になるかどうか、将来のことまで考えて検討する必要があります。

②売却時の特別控除を二重に受けられる

マイホームを売却した場合に出た譲渡所得に対して3000万円の特別控除という制度があります。簡単にいうとマイホームを売却して出た利益が3000万円以上だと税金がかかりますよ、という制度です。

夫婦で共有の場合はそれぞれ3000万円、つまり合計6000万円までは控除されるということです。

3000万円が6000万円になるというととてもお得な気がしますが、そもそもマイホームを売って3000万円以上の利益が出るということはほとんど無いと思います(2000万円で買った家を5000万円で売却するのは難しいでしょう……)。従って、このメリットのためにあえて共有にする人は見たことありません。

さいごに

不動産共有することで円満に進むことも多々あるとは思います。

マイホーム購入の際は夫婦共有名義にすることで、先述した税制優遇以外にも、借入額を増やすこともできるといったメリットもあり、場合によっては有効活用できることもあるでしょう。

ただ、相続の場面での共有は、単なるその場しのぎにしかならず、将来の処分や活用ことを考えると、できるだけ避けた方が賢明だと私は考えます。

本日はこのあたりで(^O^)

 

不動産の共有でお困りのことがあればセクトまで!